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リーダーとしての小論文【解答例を書いてみた】

国語のブログ
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2019/12/5

怒涛の第5弾は、なんと東大の小論文。渡りあえるのだろうか……?


先に断っておくと、今回の解説は「東大志望者」に向けて書こうと思う。小論文を学ぶ方への解説、という大きな括りで書いても、誰にも刺さらないと判断した。その大きな理由の一つは、東大を受験する者は覚悟が強いからだ。


東大出身者という存在は、これからの我が国をリードしていく人材である。エリート、なのだ。「エリート」という言葉からは、上から見下されるような意味合いを感じるかもしれないが、東大で学ぶ者はこの言葉を引き受けなくてはいけない


慶應義塾大学の鈴木孝夫教授は、慶應に通う人は自らをエリートと自覚すべきだ、といったようなことをおっしゃっていた。リーダーとしての自覚を備えるために学ぶ。上とか下ではなく、幅広い知識や深い洞察を大学時代に備えよ、なぜなら、塾生にはそれだけの資質があり責任(義務)があるからだ、というメッセージが込められている。オブレス・ノブリージュの考え方に似ている。そして、それを実現できる環境を慶應は持っている、と。東大も同じだし、むしろその矜持は慶應よりも強い。そんな場を目指すには、やはり並大抵の努力では覚束ない。正しい意味での「才能」も必要になる。


そういう場に入るための試験だから、それなりの知識や思考が必要。裏返せば、この解説で使われる言葉の意味や知識も、どうしても高度になり硬質な解説になる。一般的な読者層に理解してもらおうとすると、煩雑で長い解説になってしまう。それでは解説として機能しなくなる。だから全ての人に理解してもらうのは無理がある。





問題文は著作権に敬意を払って下記よりダウンロードしてほしい。


https://t.co/eIOectMlWQ?amp=1より(東大のサイト)。


見開き9ページに渡る課題文があり、設問が2つ。事例を挙げることと、下線部に対する自らの構想を述べること。テーマは政治。政治学科を出た僕としては、言い訳せずに書くしかない。


いつものように、お湯先生も解答例を提示していらっしゃる。僕は「わくわく」なんて言えないなあ。


お湯 on Twitter

“noteを更新しました。東大からの挑戦にわくわくします。 東京大学教養学部教養学科平成31年度推薦入試最終選考小論文課題 模範解答例と解説|お湯 @aaiiyudayo #note https://t.co/Sq0MQZdkYB”





■■設問の狙い


東大の推薦入試は、そもそも知識を問うていないと僕には見える。代わりに知恵を求めている。もちろん、知恵を生むには知識は必要だ。だが本試験ほど深い知識はここでは求められていない。推薦入試を東大が導入したというのは、毛色の異なる学生を取りたいからであり、考える力やオリジナリティが求められているのである。


小論文と離れて考えると、そもそも大学を受験しようとするなら募集要項に提示された「意味」を理解すべきだ。そこには、こう書いてある。


・文系理系を問わず,複数の学問分野を横断する関心新しい分野に挑戦する意欲を持ち,将来にわたって,人類社会の直面する諸問題の解決を目指す高い志を持つ学生


今回の場合、現在の世界情勢をどのように捉えるか?という「問題意識」が問われている。簡単にいえば、ニュースで流れた報道に対して、自分なりの見方を示してくれ、ということになる。募集要項どおりに課題文が選定され、設問が作られていることがわかるはずだ。



■■長文の課題文


課題文が長文の場合、ボリュームがどうであれ、とにかく主題文(要旨というより文章の狙い)を正確に書けるようにすること。その実現のためには、現代文(評論文)の読解力を上げるしかない。その方法論を、いまここで詳しく論じることはできない。それだけで10回くらいの連載が書ける。ポイントだけかいつまんで言うなら、下記の項目について徹底的に手を動かすこと。


1. 出典タイトルをチェック(筆者名も合わせて)

2. タイトルに含まれるキーワード(以下KW)をチェック

3. 本文のKWをマーキング(言換えが頻繁に起こるので漏れなくマーキング)

4. 接続語をマーキング(つまり、しかし、など)

5. 指示語は必ず開く(指し示す単語と連結)

6. 全体を面でとらえる

7. 最終的に「主題文」として短文でまとめる


もちろん、事前にある程度の基礎知識や用語知識は必要。今回は政治制度や世界情勢がテーマなので、社会(公民や現代倫理、世界史)の知識がないと、とてもじゃないけど理解できない。


本文読解の方法、基礎知識などは、現場で唸っても出てこないから、試験日までに積み上げておかなければ手遅れ。この解説ではそこまでフォローできないので、会得している前提で話を進める。





■■本文読解


社会の基礎知識(政治システムとその歴史的な理解)がないと、難解な文章としか読めない。加えて最近の国際情勢を自分の口で説明できるくらいの理解がなければ、スラスラと理解できないはず。具体例を交えて解説したいところだが、冒頭に述べたように詳細な解説を省略して進める。


では、本文読解に必須のキーワードを列記し、論点に必須となるキーワード(最重要は赤の太字)だけを簡単に解説する。


・新興民主政

・先進民主政

・権威主義

「一九八九年の精神」

・統合(均質的世界)

・二十世紀型体制(資本主義と民主政)

・グローバリゼーション(の効果) → 「一九八九年の精神」の死角

・民主政の見直し

・「二十世紀型体制」は過去

・「アラブの春」 → 文化的危機と排外主義(が強まる)

ポピュリスト(の台頭)

・先進民主政におけるポピュリズム(反エリート、反既成政党)

・受け身(政治的・包括的選択肢を持たない)

・先進民主政は変質せざるを得ない

・ヒトの移動とダイバーシティへの批判(=自らのアイデンティティの擁護)

同質性の再確認(その上に立つ福祉国家の擁護)

・ポピュリズムは「一九八九年の精神」から誕生

・利益政治からアイデンティティ・ポリティクスへの意向

・アイデンティティ・ポリティクスは後払いのコストがかかる

ポピュリストは非エリート主義であり反多元主義

・先進民主政におけるポピュリズム ≒ 新興民主政における独裁という危惧

・「一九八九年の精神」は均質化と平和が目標



■「一九八九年の精神」


この用語を僕は知らない。かぎかっこ付だし、本文末尾に注として説明がある。だからこの用語は筆者の造語であろう。だが、だからこそ全体理解にとって最重要単語だと解釈すべき


この年、日本では平成が始まり、世界ではベルリンの壁が崩壊したし、文末の注にも同じことが書いてある。(後から調べて分かったが「マルタ会談」があった年だ)。つまり、東西冷戦が終わった象徴としての壁崩壊であり、西側(資本主義国)が東側(社会主義国)を政治的に凌駕するという人々の思いを示した言葉、と受け取って良いだろう。


他のキーワードを交えて説明するなら、その背景には経済自由主義による豊かさ(資本主義)と同時に、人々の政治参加(民主政治)実現を理想とする動きがおこった。つまり「二十世紀型体制」を生む考え方だ。そしてそれは、「人類の統治の究極の形態」と定義されている。ただ本文後半で、この精神は現在に向かってポピュリズムへと移行していく(この点は後述)。



■ポピュリスト


ポイントは「反エリート」「反既成政党」だと本文にある。壁が崩壊した後、自由主義と民主政治で世界は豊かになるかに思えた。しかしうまくいかない。すると人々は「話が違うじゃないか」と怒り出す。その矛先をエリートや政党に向ける。そういう人たちをポピュリストと呼ぶ。……という大雑把な理解で良い。これは資本主義が強まるほど、カウンターとして表れる動きである(世界史を学んだ人なら知識としてあると思う)。


後の設問にも絡むので少し余談をすると、これからの日本でもポピュリズムが受け入れられる可能性がゼロではない。日本の大企業はいまやグローバル企業として存在し、日本企業だからといって日本人にモノを売っているわけではない。海外輸出による利益獲得や、そもそも海外生産と販売で莫大な利益を上げている。数億円の報酬を手にする経営者に対し、国民が不満を持ってもおかしくない。そして政治がそれを容認し、後押しさえするのなら、日本のどこかの壁が壊されることになるかもしれないのだ。



■同質性と反多元主義


ベルリンの壁崩壊後のヨーロッパは、それまで以上に自由経済を目論んでEUを設けた。ヒトもカネもモノも自由に移動可能になった。だがその結果、国家間格差はより大きくなった。結成前からドイツにはトルコ移民が多かったが、その数は増加した。イギリスやフランスでも同じ構造が生まれた。その結果、本国の住人が不利益を被るようになった。そして排斥に進む。もともとは自由を推進して多様性(ダイバーシティ)を望んだのに、結果は反多元主義に移行したのだ。移民を排除して同質性を高めようとしている。このあたりは、日頃のニュースで理解できる程度の話題だ。移民問題は日本においても議論されている最中だし、入試でも頻出のテーマである。


なお、この課題文に「ネオ・リベラリズム」という言葉が入っていないのが僕には気になった。あえて使わなかったのか、そういう意図とは無関係に、他の章で詳細が語られたのか、いずれにせよよく分からないけれど、あった方が理解が進んだと思う。また、北欧を中心とした政策についても話が絡んでくる。課題文を深く研究するなら、そのあたりまで手を広げた方が良いだろう。


解説を書くにあたって、僕の知識が足りない点があったので調べていくうちに、次のファイルを見つけた。著者の佐々木氏の講演記録だ。課題文と同じことが易しく語られている。参考になると思う。


https://bit.ly/2YeVKk0





■■主題文設定


上記のキーワードを基に、改めて課題文を自分なりにまとめる必要がある。設問で「本文の趣旨を踏まえた上で」とあるから、本文を一言で言えるくらいに理解しておかなければ、設問条件に応えられないからだ。というより小論文でも現代文でも、主題文設定は必ず作業することを勧める。これをしっかりやるだけで得点は飛躍的に上がるから。


文章読解は、先に示した読解方法で解決するはずだが、それでも難解だと感じたら、もういちど書籍タイトルに含まれる用語の意味を理解しよう。ここでは「民主政」「ポピュリズム」が最重要キーワードであり、この二点について長い文章が示されているだけなので、二つの用語定義を押さえれば、実は難しくない文章なのだ。要は「最近の世界情勢」の話なのだ。そこで、文章を逆算して理解すると分かりやすい。今の世界情勢がなぜ現状のようになったかと言えば、少し時代を遡るとEU統合があり、その少し前には冷戦があった、と捉え直す。


結局、課題文は次のようにまとめることができる。



【主題文】


現在の世界政治状況は「一九八九年の精神」からポピュリズムへと移行しつつあり、その経緯を「先進民主政」「新興民主政」からの帰結で説明した。





それでは設問を考えよう。


(一)

傍線部(一)で言われている緊張関係の例を一つ挙げ、五行程度で具体的に説明しなさい。


実際の解答用紙がないので不明だが、「五行程度」ということは、一行あたり30字で換算すると150字程度だと解する。ただ、事例によっては字数増減が許容されるので、字数を厳密に気にする必要はない。


真っ先に思い浮かぶのは「米中貿易摩擦」だろう。GDPトップ二国間で応酬が繰り広げられている。これは大きな緊張関係といえる。


多元主義が限界だと気付き、同質性を重視する民主政に移行すれば、閉鎖性に依拠した政体を目指さざるを得ない。自国利益を優先する方向に進むのだ。そこから導き出される帰結が貿易摩擦である。


米中貿易摩擦はその典型だ。自国の利益を優先し、国家間の協調は二の次。保護貿易を堅守し、技術や人の移動を制限する動きが実際に出てきている。これは新たな冷戦とも言える。その原因には均質化を求める民主政が背後に潜んでいる、という構造である。


アメリカは大統領制であり、自由主義経済を標榜する代表国。筆者が言う「先進民主政」の代表でもある。多様性を大らかに受け入れてきた国が一転して移民に厳しくなったのは、自国ファーストでなければ自分達の生活が脅かされると意識し始めたからだ。そして、アメリカ政府への不信、つまりエリート層と民主党への反抗が生まれ、トランプ大統領の誕生に繋がっている。アメリカの中国に対する動きは、単に自国の利益を優先する狙いだけではなく、ポピュリズムの台頭という背景が控えているのだ。


あるいはBrexitを取り上げても良い。EUは自由化・均質化を望んだが、先に述べたように、特に移民問題に苦しむことになり、イギリスはEU脱退を論議している。現在は迷走しており今後の見通しが立っていないが、ヨーロッパにおける金融の中心地がEUを抜けるというのは、イギリス本国にとってもEU全体にとっても計り知れない影響がある。だがこれは、ポピュリズムを支持する国民投票の結果なのだ。


もう一つだけ例を挙げると、IS樹立を取り上げても良いだろう。国際世論からは国家として認識されないが、イスラム教に基づく「国家」として成立し、ポピュリズムが要因ではない。だが、ISが欧米を標的にテロ行為をしており、その背景には欧米によるイスラム排除という側面がある。欧米でポピュリズムが広がり、それを遠因としてISが樹立したと受け取れば、これも摩擦の一例と考えて良さそうだ。



(二)

傍線部(二)に「その第一ヴァージョンの時代は終わったのである」とあるが、課題文の趣旨を踏まえたうえで、第二ヴァージョンについてのあなたの構想を述べなさい。


この問いは、外してはならない大事な条件が数行前に書かれている


「一九八九年の精神」は(中略)内政に劣らず重要なのは国際関係やグローバル・ガバナンスの観点からの考察である。


だから問いを立て直すと、次のようになる。


「一九八九年の精神」の第二ヴァージョンをグローバル基準で考えよ。ただし、これまでの政治的経緯を無視してはならない。


つまり、ポピュリズムかグローバリゼーションのどちらか、という二択を立ててはならないのだ。矛盾する二つの考え方を、どのように止揚するかが問われていると考えて良い。


また、こうした正解のない問いは、ある程度不備がある考え方になる。そこをどれだけ説得力をもって説明するかがポイントになる。マイケル・サンデルが提示した問いのように、誰もが納得できる答えではなくても、どれだけ深く考えてきたかという思考力が問われているので、考え方を論じるようにしよう。


また、字数は指定されていないが、これから欧米先進国が目指す政治システムや政治文化などが問われているので、少なくとも1,200字は必要になる。多く書く人なら2,000字まで膨らむだろう。


解答する立場は、先進国首脳や国連事務総長にでもなったつもりで書くと良い。これからの国家運営を論じる。この試験は冒頭にも述べたように、これからの日本を背負っていくリーダーとしての適性の有無が問われている。自分が首相ならこういう国にするのに、という理想を語る場なのだ。





【解答例】


(一)

傍線部(一)で言われている緊張関係の例を一つ挙げ、五行程度で具体的に説明しなさい。


米中貿易摩擦が挙げられる。共和党出身のトランプ大統領は、ポピュリストの支持を受けて選挙に勝利した。そしてその公約どおり、第二次産業の保護や貿易収支の改善に対する施策を実行している。いまや世界第二位の経済大国となった中国に対しても、関税率を上げたり貿易品目を制限するなど、保護貿易を邁進している。これにより間接的には日本近海における軍事的緊張が増し、国際関係に無視できない影響を及ぼしている。


(195字)



(二)

傍線部(二)に「その第一ヴァージョンの時代は終わったのである」とあるが、課題文の趣旨を踏まえたうえで、第二ヴァージョンについてのあなたの構想を述べなさい。


大統領制、あるいは君主制だとしても、国民に主権を置く民主政はこれからも普遍的に存在していくだろう。絶対君主や軍事政権の誤りや不備は、民主政によって改変されてきた。いちど栄えた文明を手にすると後戻りできなくなるのと同様、現代に生きる人々はもはや自らに主権がない国家で生きていくことはできない。

だが筆者の言うように、自由経済と民主主義を標榜した「一九八九年の精神」は、確かにポピュリズムへと移行しつつある。たとえば移民問題に対するトランプ大統領、EU各国の対応は、文化多元主義から自国優先へとシフトしている。多様性を受け入れるキャパシティに限界がきたのが、現在の先進国の姿だ。では「一九八九年の精神」のどこに誤りや不足があったのだろうか。また、それに対する施策や改善案の提示は可能なのだろうか。

第一に言えるのは、グローバリゼーションの動きは止められず、先進国は移民をある程度は受け入れなくてはならないことだ。世界全体としての最適化を図るという使命が、先進国側にはある。先進国は発展途上国の安価な労働力や資源に依存している。ならば世界規模で安定的な発展を望むのが、先進国側に求められるモラルであり義務である。だが、途上国にはどうしても自国で生きていけない人々がいる。国家や国連からの経済的・技術的援助が足りていなかったり、あったとしても中央権力の腐敗で国民に還元されないケースもある。止むにやまれず国外に希望を求めて渡航する押し出し圧力が途上国には存在している。キリスト教という文化基盤がある欧米各国は、その期待に応えてきた。それが限界を迎えているとするなら、グローバリゼーションのバランスを取ることが必要だ。移民の流入を抑えるのは必要だが、過激的な反発も抑止する必要がある。グローバリゼーションの安定を目指したコントロールが、これからの先進国に求められていると考える。

また、その結果を自国に対して明確なメリットとして開示する必要もある。たとえば日本では東南アジアから医療・介護分野での人材流入が制度化されているが、そもそも日本人の勤務体制や報酬が充分とは言えない。現状のままでは、欧米各国でポピュリストが台頭してきたように、海外から招き入れる人材に対してネガティブな感情を抱きかねない。海外から人材を呼ぶことで、自分たちの暮らしが却って良くなることを国が示せば、お互いにメリットが感じられて制度が実体化していく。

この二点を国民感情として理解し納得できるレベルにまで引き上げるには、教育大国を目指すという考え方を私は提唱したい。

これまでの教育は、やはり自国の歴史や文化を優先にしている。欧米における世界地図は日本が端に位置し、自国が中心に据えられている。子供の頃から見てきたその配置は、自国中心主義を無意識レベルで植え付ける。日本においての歴史観が中国や韓国に受け入れられない例も、自国にとってある意味で都合の良い教育だ。

そうした自国主義ではなく、グローバル基準での教育にシフトしていく。多様な認識を懐深く受け入れられるような教育体制に変えていく。多様性が当たり前であり、それを理解した上で、市民が自らの判断で政党や施策を選択できる力をつけるよう、教育が支えていくのである。つまり教育は変わっていくことが求められる。教育は、時間的・費用的回収に長い時間がかかるが、だからこそ揺らぎない国力となる。戦後の我が国の発展は、知識偏重だったとはいえ、教育によるところが大きかった。これからの世界は、知識と共に知恵を育むような教育施策を取った国がリードしていくことになる。

また、人々の政治参加、つまり投票行動をもっと後押ししていくことも必要だ。サイレント・マジョリティがメディアではなく、自らの選択によって政党を選んだり、施策に繋がる意思表示を表明していけば、ポピュリズムに転化していくことも減っていく。単に投票率を上げることを目標にするだけでは、かつてのドイツのようにカリスマが生まれてしまうが、知性をもって判断できる市民が増えるなら、そうした危険性はかえって小さくなる。

教育に支えられた民主政。これが私の目指す「一九八九年の精神」の第二ヴァージョンである。


(1,722字)


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