山崎 陽子個人家庭教師のブログ

志望動機の書き方に関する小さなアドバイス ~2~

2019/10/8

前回の記事の続きを書いていくことにする。

前回の記事では、読みやすい文にするために

(1)主語と述語の関係に気をつける

(2)1文を短くする

という点について書いた。


今回は、抽象的な表現について述べていく。



(3)抽象的な表現は極力避ける


これは文字数の関係もあるので難しい場合もあるかもしれない。

しかし800字以上の志望動機を書く場合は、抽象的な表現を避ける、ということに注意したい。


さて、ここで「抽象的な表現」「具体的な表現」とはなにかについて書いていきたい。


例えば私は自宅でよくこんな会話を夫とする。


【例1】

夫:飲み物買ってくるけど、なんか欲しい物ある?

私:ん~、炭酸買ってきて。


【例2】

夫:飲み物買ってくるけど、なんか欲しい物ある?

私:ん~、ダイエットコーラの500mLのペットボトル買ってきて。ペプシNEXはだめ。ダイエットコーラで。



さて、夫は私が欲しい物を無事に買ってくることができるだろうか?



【例1】の場合、私が指定しているのは「炭酸」のみである。

夫は私から「炭酸」という条件しか指定されていない。

だから買ってくるのは三ツ矢サイダーかもしれないし、ペプシかもしれないし、もしかしたらビールや酎ハイかもしれない。


いっぽう【例2】では、私は自分が欲しい物を明確に指定している。

だから夫は、私が欲しい物をピンポイントで買ってくることができる。



【例1】で挙げた私の返答が「抽象的」にあたり、

【例2】の私の返答が「具体的」にあたる。



つまりどういうことかというと、

抽象的な表現を使うと、聞き手や読み手はこちらが本当に言いたかったことを正しく汲み取ることができない。

具体的に表現することで、相手はこちらの言いたいことを正確に理解することができる。

ダイエットコーラが欲しいならそう言わなければ、相手には伝わらないのだ。


炭酸買ってきて、とだけ伝えて、三ツ矢サイダーを買ってこられても、決して相手に怒ってはいけない。

こちらの表現に問題があるからだ。



志望動機においても同じことが言える。

抽象的な表現はあいまいさをもたらす。

そして、あいまいな表現では、読み手には受験生の言いたいことが伝わらない。




以前添削したある社会人受験生の志望動機(添削前)を例に出そう。

ところどころおかしなところがあるが、「抽象的なところ」に注目いただきたい。


私は看護師になりたいと常々考えていたのですが、その気持ちが一層強くなったのは経験の為に始めたヘルパーの仕事がきっかけでした。
介助のときに利用者の体調が悪い際に、少しでも良くなるよう努めたいと思いました。
しかし利用者にとっては介助者として見ている為、必要以上なケアは求めてはくれないことに歯がゆく思ってしまった経験が何度かありました。
こうするといいんじゃないのかと提案しても断わられると何も出来なく、
私は自立が出来るように支援するだけでなく、体調が悪いときは見合ったケアをしてあげたり、
からだに良くないことは止め、健康であれることに努めることをしたいと思いました。
そしてより一層看護について深く考えるようになり、看護師になりたいと思いが強まりました。



この志望動機は「抽象的な表現」のオンパレードである。

>介助のときに利用者の体調が悪い際に、少しでも良くなるよう努めたいと思いました。

→利用者の体調がどう悪かったのか?

→少しでも良くなるように何をしたいと考えたのか?



>こうするといいんじゃないのかと提案しても断わられると何も出来なく、

>私は自立が出来るように支援するだけでなく、体調が悪いときは見合ったケアをしてあげたり、

>からだに良くないことは止め、健康であれることに努めることをしたいと思いました。

→具体的に何を提案したのか?

→利用者はなぜ提案を断ったのか?

→からだに良くないこととはなにか?



読み手にこのような疑問を抱かせる文章というのは、その部分が「抽象的」なのだ。

言いたいことがあいまいでぼんやりしているから、読み手は疑問を抱く。




では、具体的に書かれた文章というのはどのようなものか、ひとつ例を出したい。

これは私が以前指導をした、ある社会人の看護学校志望動機の一部である。



そんな避難所に医師と看護師がボランティアにきた。
彼らはまず、被災者一人ひとりの名前や持病を確認した。
ストレスで高血圧や食欲不振になった人に薬や栄養剤を飲ませた。
高齢者には入れ歯なしで食べられるお粥や、柔らかい食べ物を与えた。
合わない靴で足を痛めた人には、靴の中に詰め物をして痛くならないよう配慮した。
汚物だらけのトイレも清掃・消毒し、ダンボールとポリ袋で簡易トイレを作り設置した。
彼らは病や感染症から被災者たちを守ろうとしていた。 

彼らは被災者を生かすことだけを考えていたのではない。
被災者が健康で安全に、可能な限り普段の生活に近い状態で生活できるよう尽力していた。
被災者の立場なら何が不便なのか、どうすれば健康に過ごせるか考え、行動していた。
被災者に寄り添い力を尽くす看護師に私は心を打たれた。
そして困っている人のことを優先して考え、援助のできる看護師に私もなりたいと強く考えた。 



具体的に状況を記述することで、読み手は受験生がおかれた状況を頭の中で再現することができる。

できるだけ具体的に書くことによって、受験生がおかれた状況と読み手のイメージとが合致しやすくなる。

あいまいさが回避されるため、志望動機の内容が濃くなり、

はっきりと受験者の意志があらわれるようになる。



文章を書くことは、決して易しいことではない。

私自身も、文章を書くのがうまいほうではない。

ただ、文は書けば書くほど洗練され、だんだんと上手に書くことができるようになる。


まずは下手でもいいから、

(1)主語と述語の関係に気をつける

(2)1文を短くする

(3)抽象的な表現を避ける

という3つのポイントを踏まえつつ、志望動機を書くということをして欲しい。